NPO法人設立の要件
NPO法人の設立には、目的に関すること・社員に関すること・役員に関することなど、さまざまな要件が課されています。また設立趣旨書や事業計画書など、通常の会社設立にはなじみのない書類が必要となります。
具体的には以下の要件を満たす必要があります。
特定非営利活動を行うことを目的とすること
以下の17分野にうち、主たる活動が該当すればよく、すべてが該当しなくても問題ありません。
1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
5.環境の保全を図る活動
6.災害救援活動
7.地域安全活動
8.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
9.国際協力の活動
10.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
11.子どもの健全育成を図る活動
12.情報化社会の発展を図る活動
13.科学技術の振興を図る活動
14.経済活動の活性化を図る活動
15.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
16.消費者の保護を図る活動
17.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
営利を目的としないものであること
営利を目的としないとは、営業活動で利益を上げてはいけないという意味ではありません。
NPO法人も法人には変わりなく、活動を続け存続して行くためにはお金が必要です。
事務所経費・人件費・活動費など当然かかる経費があります。
ですのでお金を稼ぐこと自体には何ら問題はありません。
しかし、その稼いだお金で経費を支払い、なお利益が余る場合に役員や社員などで
分配してはいけないという意味です。
株式会社でいう株主への配当と理解してもらえればわかりやすいと思います。
また法人を解散することとなった場合でも、残余財産を分け合うこともできません。
その場合は定款で定めた公益法人へ寄付するか、国庫へ寄付することになります。
これらが「営利を目的としないものであること」の意味です。
宗教活動や政治活動を主たる目的としないものであること
宗教活動とは宗教的理念・動機に基づきその教義を広め、信者を募り教化育成していく
ことを目的とする活動をいいます。
政治活動とは政治上の目的を持って行われるすべての活動をいいます。
ある政治主義を推進する活動や、ある政治主義に反対する活動を主たる目的とする
ことはできません。しかし公益的視点からの政策提言や請願は問題ありません。
特定の公職者・候補者又は政党を推薦・支持・反対する事を目的としないもの
特定の公職者とは衆議院や参議院、地方公共団体の議会の議員及び知事や市町村長
などの職にある者のことをいいます。現職でなくともその候補者も含みます。
これらの推薦・支持・反対などの選挙活動をすることはできません
社員が10人以上いること
社員とは一般的理解の従業員という意味ではなく、そのNPO法人の総会などにおいて
議決権を持つ会員のことをいいます。
株式会社でいう株主と理解してもらえればわかりやすいかと思います。
社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さないこと
不当な条件を付さないとは、その法人に賛同すれば誰でも自由に社員になることができ、
また辞めることもできる、つまり法人への加入や脱退は、社員の自由意思の妨げに
なってはならないという意味です。
しかし必ず無条件にしなければならないわけではなく、法人の目的や活動内容に
照らし合理的な必要最小限の条件であれば認めれらます。
役員の法定員数を満たしていること
NPO法人の役員は、理事3人以上・監事1人以上が必要です。
これは最低員数ですので、これを下回らなければ自由に定められます。
役員報酬を受ける者は役員総数の3分の1以下であること
役員報酬といっても、役員が職員を兼務しているような場合に受け取る給与は
この報酬には含みません。
役員報酬は、法人の目的のための立案・事業遂行・議事運営など、職員では
行わない労務の対価として受ける金銭その他をいいます。
しかしその報酬が合理的な金額を超える場合は利益の分配とみなされる
おそれがあります。
役員が欠格事由に該当しないこと
具体的には以下の者が欠格事由に該当することになります。
・成年被後見人又は被保佐人
・破産者で復権を得ない者
・禁固以上の刑に処せられ、その執行の終わった日又はその執行を
受けることがなくなった日から2年を経過しない者
・特定非営利活動促進法若しくは暴力団による不当な行為の防止等に関する法律の規定に
違反したことにより、又は刑法第204条(傷害罪)、第206条(現場助勢罪)、第208条(暴行罪)、
第208条の3(凶器準備集合及び結集罪))、第222条(脅迫罪) 若しくは第 247条(背任罪)の罪
若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、
その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
・暴力団の構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から
5年を経過しない者
・設立の認証を取り消された特定非営利活動法人の解散当時の役員で、
認証を取り消された日から2年を経過しない者
役員につき、配偶者・親族の数が法定員数を超えないこと
役員にはその者の配偶者や三親等以内の親族が役員総数の3分の1を超えてはいけません。
例えば夫婦で役員になる場合は、役員総数が6人以上居なければならないことになります。